お知らせ

第71回熊谷花火大会の記録映像を公開しました。

更新日:2023.11.20

 

 

4年ぶりにいつもの花火大会が戻ってきた。

 

一昨年、昨年はコロナ禍のなか、分散型・短時間・無観客での花火大会となったが、特別な日常に多くの感動を呼んだ。

 

2021年の記録映像を締めるコピーは『明日もいいことありますように』とした。

花火って凄く特別か?と言われたらそんなことはなく、毎年夏の風物詩として、見られたらラッキーと思える虹のような存在。そんな当たり前の存在が、本当に特別に感じるほど私たちの日常は様変わりしてしまった。あの時、私たちを囲むように上がった花火は本当に美しく、特別だった。

 

2022年の記録映像を締めるコピーは『みんなで集まれないのは今年が最後だと思う』とした。

少しずつコロナ禍から日常が戻ってきたタイミングだったが、大勢が集まって1カ所で花火を見ることはまだできない。それでも、あともう少し…。 少しでも前向きな花火にしたいと考え、もうこの先出来ないであろう内容、市内10カ所、360度全方位を花火に包まれる時間と空間を目指した。そして、市民の方にご協力いただき自転車部隊により市内の各所に花火打ち上げのアナウンスと映像による記録をお願いした。日常の風景に見えるいくつもの花火と、市内の様々な場所で見られた笑顔には、確かな前向きさを感じることができた。

 

そして2023年、4年ぶりにいつもの荒川河川敷で多くの市民の皆さんをお招きする、いつもの花火大会が戻ってきた。

 

100年近く続く、熊谷の花火。

 

本当に、多くの人が関わり、多くの人が楽しみ、多くの人の思い出となり、多くの人を励ましてきた存在だったのだと、改めて気づくことができた。 だから今年のコピーは『これからもずっと』とした。

 

不意に、そして簡単に奪われしまう私たちの日常は、しっかりと確かな想いで繋ぐ必要がある。

この想いを忘れないようにここに記録します。

 

 

 

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<追記>

監督のナカガワダイキさんからコメントいただきました。

 

 

観光とは、まちづくり。表面的な映像を作ることは避けよう。2021年の最初の映像を作る際にそんな会話をした記憶があります。

 

花火というと、賑やかな祭りの風景や打ち上げられた花火そのものをイメージすることが多いかもしれませんが、僕は花火の光によって暗闇を見上げる人々が照らされる様子にどこか美しさと儚さを感じていました。

それは、コロナによって皆で集まることができなくなった2021年の花火大会映像コンセプト「日常を照らす」に活かされているかもしれません。

 

全ての映像にはコンセプトはあれど、台本と台詞はありません。出演者も全て、熊谷市民の皆さんです。地元に根付く観光協会の皆さんによるプロデュースの賜物に尽きますが、どれだけ熊谷の日常に溶け込む映像が作れるかを意識してきました。

 

3年間に渡り尽力してくれた撮影クルーは計14名。一貫して彼らにお願いしたことは「見守る」こと。機材は全員統一で、レンズは基本50mm一本。熊谷の人が「熊谷の日常だなぁ」と自然に受け入れられ、視点を共有できるためには、決め打ちのカットを重ねるのではなく、常に市民の日常の隣に立ち、とにかく追いかけて、カメラを回し続けることだと思いました。地元出身者だけでなく背景様々なカメラマン各人が切り取る画は、同じ街で同じ機材でも、それぞれの個性や多様な視座も楽しめると思います。

 

結果、良い意味でカオスな映像ができあがったのではいないかと思っています。人口20万人の街で、特定の枠に当てはめてその街を語ることは僕は不可能ではないかと思っています。カオスでいい。そのカオスを活かした中から生まれる空気感こそ、熊谷ならではの何かなのかもしれません。


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