さぁ、熊谷駅のお隣の「上熊谷駅」に到着しましたよ～！

なんで、そんなテンション高いんですか（笑）？

だって、この辺りが直実さんの故郷なんですから、それはテンション上がりますよ！

直実さんって、源頼朝さんに褒められた熊谷駅の銅像の人？

そうですそうです！

熊谷駅前の銅像が有名なのですが、暮らしていたのは「上熊谷駅」辺りだったそうなんです。屋敷があったと言われているのが、直実さんのお墓がある「熊谷寺（ゆうこくじ）」辺りだったと言われています。

そうなんですね～。

この辺りの地名が鎌倉町というのも、直実さんとか鎌倉幕府とかと関係あるんですか？

素晴らしい！そうなんです！

この辺りは鎌倉町というのですが、駅からお寺までの道をかつて「鎌倉街道」と言ったそうで、地名はそれに由来するそうです！

この道は鎌倉幕府の置かれた鎌倉に繋がっていたんですね～。

へ～、直実さんはこの道を通って、鎌倉に向かってたんだ～。

ちなみに、お寺に向かう途中に国道17号が走っているんですが、こちらも昔の街道の名残です。

「中山道」って聞いたことあります？

あ、昔習ったかも。

教科書に出てきましたよね。

徳川家康が整備したメイン道路の「五街道」の内の1つで、日本橋をスタート地点にして、京都の三条大橋をゴールにした内陸の街道です。

あ、聞いたことあるかも！

それを基に造られたのが国道17号！

江戸時代にはこの辺りに「熊谷宿」という宿場町が置かれていて、とっても賑やかだったそうですよ。

ちなみに、かつての中山道は「八木橋百貨店」を通過するルートだったので、八木橋百貨店の敷地には中山道の石碑が建てられています！

へ～、おもしろい～！

さてさて、今日はかつての鎌倉街道の脇にある「星溪園」におじゃましようと思います！

せい、けい、えん？

CMやドラマのロケ地とかでも使われるキレイな庭園で、だいたい150年くらいの歴史があるんですよ！

え、行きたい行きたいー！

さーて、鎌倉街道とか中山道とかのことをしゃべっている間に、あっという間に星溪園に到着しましたよー！

へー！街中にあるのに、静かで良い雰囲気！

なんだか落ち着くわ～。

この庭園が造られ始めたのは、慶応年間だったそうです。

けいおう年間？

慶応は明治の前の元号で、今から150年以上前になります！

西暦でいうと1865年から1868年まで。つまり、幕末ですね！

幕末！新選組？

まぁ、そうですね！新選組が活躍した時代です！

ちなみに、新選組ははじめ「浪士組」と呼ばれていたんですが、その初期メンバーに「根岸友山」というなかなかの剣豪がいました。実は、友山さんは熊谷市出身の人で、今も「根岸家長屋門」が残されていますよ。

え、すごい！

土方とか沖田とかと一緒にいたんですか？

もちろん！

友山さんは、土方や沖田が属した近藤勇グループと同じくらい強いグループを作っていたそうだけど、方向性の違いがあったみたいで「新選組」という名前になる前に脱退して、熊谷に帰ってきて、倒幕派として活動したそうですよ。

へ～、そういう人がいたんだ！

ちょっと話が逸れちゃいましたね。

さぁさぁ、庭園をゆっくり回りましょう～。

わー！キレイー！！写真撮っちゃおう！

どうぞどうぞ！

私の庭園ではないですけども（笑）。

これは誰が造った庭園なんですか？

造った方は竹井澹如（たけいたんじょ）さんという方で、熊谷宿の本陣を代々務めていた竹井家の14代目のご当主の方です。

本陣？

本陣は、宿場町に大名などのお偉いさんが来た時に宿泊する屋敷のことです。

あ、じゃあ、澹如さんは熊谷宿の偉い人だったんですね。

その通り！

荒川の土手の整備をポケットマネーで行ったり、学校の設立を行ったりと、熊谷の発展に大きく貢献したお方です！

大隈重信さんや板垣退助さん、陸奥宗光さんなどの中央政界の方達とも仲が良かったそうですよ！

え！すごい人！

そうなんですよ～！

澹如さんは、この場所に別荘を構えて、目の前にある「玉の池」を中心に庭園を造りました。

この玉の池、実は荒川と関係があるんですよ！

え、なんだろ～？

玉の池は、荒川の洪水が起きた時に、この近くに築かれた堤防が切れて、たまたま出来た池なんです。

へ～！荒川から結構離れているけど、洪水の時は、こっちの方まで水が来てたんだ！

ちなみに、上熊谷駅から熊谷駅の方に向かって「星川」という小川が流れていますけど、その源流は、この玉の池です！

すごいキレイなお水ですね～。

さてさて、玉の池が出来たキッカケで、“堤防が切れた”と言いましたけど、その時の堤防の跡が残っていますので、そちらを見に行きましょう！

え！残ってるんですか！

見てみたい！

はい、あっという間に到着しました！

星溪園の隣にある「石上寺」でございます！

創建はお寺の言い伝えによると、400年以上前の1616年！

徳川家康さんがお亡くなりになった年ですね。

そんな前からあるんだ！

直実さんが名前の由来になっている早咲きの桜の「熊谷桜」が50本くらいある江戸時代の頃から有名だった桜の名所で、お隣の行田市にある「忍城」の城主も見物に訪れていたそうですよ！

殿様が見ていた桜を見られるなんて、なんか贅沢ですね！

ですよね！

じゃあ境内におじゃましてみましょう。

あれ、この銅像の人は誰？

この方は教科書にも登場する方ですよ！

明治時代に日本で貝塚を発見したアメリカの学者さんと言えば？

モース！？

正解です！

モースさんは1877年に日本に来て貝塚を発見。

東京大学の教授になるんですが、その次の年に、ここ石上寺にやって来ているんです！

モースがここに来てるんだ！？

そうなんです！

吉見町の吉見百穴の調査に訪れたモースさんは、熊谷の方のお願いもあって、ここ石上寺で「ダーウィンの進化論」について、講演をしたそうなんですよ！

へ！すごい！

その講演で「人間の祖先は猿」と話したら、観客の人が怒り出したという話も残されていますよ（笑）。

確かに基礎知識がなくて、いきなり「先祖が猿」って言われたらイヤかも（笑）。

そのモースさんの講演を記念して建てられたのが、この銅像というわけです。

なるほど～。

ところで！

本堂を見て何か気付きませんか？

新しい？

はい、確かに新しいのですが、注目して欲しいのは建っている場所です。

ちょっと高いところに建ってる？

ハイハイ！そして、荒川沿いの高いところと言えば？

堤防？？？

大正解！！！

実は石上寺は、かつての堤防の上に建てられたと言われているんですよ！

へ～！え、でも何でですか？

石上寺は、堤防が丈夫で壊れませんようにと祈願して建てられたお寺なので、堤防の上にあるんです。

あ、そうなんですね！

昔はこの辺りに堤防があったんですか？

はじめに荒川沿いに堤防が築かれたのは、安土桃山時代の1574年だったと言われています。

その時に築かれた堤防は、ここから北西に400mほどいった本石という場所の、松岩寺あたりから始まって、この石上寺あたりを通過して、スタート地点の上熊谷駅あたりまで続いていたそうですよ。

さっきの庭園の池は、ここの堤防が切れた時に出来たものっていうことですね？

はい、そういうことです！

ちなみに、堤防を築いた人物というのが、「北条氏邦」さんです！

あれ、桜堤の時にも言っていた人ですか？

そうですそうです！

桜堤もそうですし、ここの堤防も、氏邦さんが造ったのが始まりと伝えられています。氏邦さんについては、また「寄居駅」でお話ししますね～。

は～い！

あの～、小腹が空いてきました（笑）。

承知しました（笑）。

じゃあ、近くにオススメのコーヒー屋さんがあるので、そこに行きましょう！

わ～い！